「編集部にイラストを持ち込みに行く 調査編」

前回の予告どおり更新です。「来週は実践編を書くよ」としていましたが、これがまとめてみるとすごいボリュームになってしまったので、「調査編」として小出しにしていこうと思います。来週も小出しにしながらきれいにまとめます。

ではここで、改めて注意事項です。これからまとめている内容は「こうすればうまくいく」的な模範解答ではありません。仕事柄、いろいろな編集部に伺って話を聞いたり、現役のイラストレーターさんから話を聞いたりするなかで、こうすればいいんじゃないかしら、ということを箇条書きでまとめています。


【編集部にイラストの持ち込みに行く 調査編】


■持ち込み先を選ぶ■


★どういう絵を描いている/描きたいか、どこで描きたいか

自分の描いている絵がどういうところに向いているかどうかわからない、という質問を受けることがあります。なるほど、自分の描いている絵を客観的に見ることができていないんだなあと思うのですが、いくつかの方法を紹介してみます。

1.自分の絵が誰の絵に似ているのかを考えてみる
自分の絵がイラストレーターの○○さんに似てるんだとしたら、その人が活躍している分野の仕事が自分の絵が向いている分野。

2.本屋さんでいろんな本・雑誌を見てみる
出来るだけ大きな本屋さんで、片っ端から本・雑誌を見て、どんな分野の本にどんなイラストが使われているかをチェックする。自分の絵に近いイラストが使われている本・雑誌が自分の絵が向いている分野。時間がかかりますが勉強になります。

これらは、自分の絵に似たイラストを発見する方法です。これとは別に「どういうところに向いているか」という受動態ではなく、「どういうところで描きたいか」という能動態で考える方法もあります。

2の方法(本屋さんで探す)を「どういうところで描きたいか」を探す過程にすると、たのしいと思います。「例えば自分の絵がこの本に使われたら...」と想像してみて、「合いそう!」と思った分野・編集部こそ、自分の絵が向いている(かもしれない)分野でしょう。


★出版社を知る/連絡先を調べる

講談社をはじめとする大手の総合出版社は、社内にいくつもの編集部を持っています。たくさんの雑誌・書籍が毎月発売されていますが、それぞれに編集部があり、それぞれに電話番号も違います。「講談社の編集部に持ち込みに行きたい!」といってもどこの編集部に行きたいのかがわからなければ、話が通じません。

どのような出版社があってそれぞれがどのような雑誌・書籍を発行しているのかについては、wikipediaで検索してみると参考になると思います。

雑誌や書籍の巻末などのページに編集部の連絡先が必ず掲載されていますので、まとめておきましょう。本屋さんで堂々とメモを取ったりケータイで写真を撮ることは本屋さんの迷惑になりますのでやめてください。お買い上げするか全力で暗記して店外でメモしてください。


★連絡先はなるべくたくさん

たとえば児童書文庫の編集部で描きたいと思えば、書店の児童書コーナーでどんな出版社が児童書を出版しているのかを調べます。ライトノベルなどでも同じですね。いろいろなレーベルがあると思いますが、どんな出版社があるのかを調べましょう。連絡先を調べることも忘れずに。

○○出版社で描きたい!という考え方はあまりよくないかもしれません。どういう分野で描きたいかを決めておくと選択肢が広がります。児童書文庫で描きたいならば、編集部はたくさんありますからね。選択肢がたくさんあればあるほどお仕事をもらえる確率が高くなります(1社しか持ち込みに行っていないより、20社に持ち込みに行ったほうがお仕事をもらえる可能性は高いですよね)。めざせ30社!

また、例えば「児童書文庫の分野」と決めて編集部の連絡先をたくさん調べたら、児童書文庫に近い分野もチェックしておきましょう。コミック系のイラストが多用されている「ライトノベル」はもちろん、そのほかの分野にも使われていると思います。自分が書店でどれだけリサーチして情報を整理できているかで、分野の広がり方が変わります。たくさんの編集部の連絡先を調べましょう。